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 マカオ
DTIブログにようこそ!
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(今回は真面目な小説です。グロテスク注意。)
(この話はフィクションです。実在の人物、団体、病気などとは一切関係ありません。)
●認死症が世界中に拡散した後、とある国では有能な医者や科学者を集め、国を挙げての認死症対策機関を設立した。様々な分野、様々な方向から認死症の研究を行う特別な国営機関。その代表取締役を任じられたのは弱冠22歳、三度の飯よりタバコとコーヒーが好きな天才研究者だった。
俺は広大な研究施設を全力で駆け抜ける。右手には黒光りする拳銃が握り締められていた。
もうコイツのセーフティーは解除してあるし、撃鉄は起こしてある。撃つ為に足りない準備があるとすれば、自分の命を守るためといくら言い訳を繰り替えしても納得できていない俺の心だけだ。
認死症患者が、人間としてのモラルや人道を明らかに逸した行為である《共喰い》を行うとしても、突き詰めれば彼らはれっきとした人間であり、何の非もない一人の患者なのだ。「生きるために邪魔だから殺す。」そう簡単に割り切ってしまえるような人間なら俺は、この施設を任されはしなかっただろう。この研究だって人を救うための研究だ。全ての人を救う前に、目の前の人を救えず、あまつさえ保身のためにその人を殺してしまうなら、研究なんてクソ喰らえだ。
ガタガタガタンッ!!!
いまだ激しい騒音が続く。いよいよその音源も近くなってきた。おそらくあそこだ、B=504号室。全身の緊張が高まる、が、ここで立ち止まっている暇はない。
もしかしたらまだ助かる余地のある者がいるかもしれないのだ。
だから、手遅れになる前に腹をくくらなければならない。
音のする部屋までこのペースで走ればあと3秒程度だ。
あと2秒。
あと1秒。
0秒・・・。開けっぴろげになっている頑丈な扉。俺は走ってきた勢いのままその扉を蹴り飛ばし、真正面に銃を構えた。やるべきことは分かっている、争っている者の中から認死症患者とそうでない者を即座に見分け、患者を拳銃で威嚇しながらそうでない者と安全な場所まで逃げる!
この部屋に向かって走っている時、何度もシミュレートしたことだった。だが、それを一瞬で忘れてしまうほどに、その部屋の光景は異常なものだった。
全身のところどころから出血し、白衣であったろうボロボロの衣類を真紅に染め上げた男が一人。その男とほぼ同等の傷を負い、上半身は裸でほぼ全身が戦闘部族の刺青のように血で彩られた男がもう一人。男二人は恋人同士が熱いキスを交わすように正面から組み合っていた。だがそれは愛を伝える接吻とは違い、二人の口唇は限界まで開かれ、互いの口で互いののどぶえを噛み千切ろうとしていた。見分けるようとする必要などない、間違いなく、二人とも認死症患者だった。
「う、ああああああああああああぁぁぁぁッ!!!!」
俺の悲鳴に反応して、二人の双眸がこちらを向いた。それは、まるで修羅か羅刹、射抜くような眼光だった。
が、直後、4個の眼球の内の2つの視線が俺から外れた。その両目は行き場を失い、やがて焦点が合わなくなり、その目の持ち主はうなだれるようにゆっくりと地に伏せた。
真っ赤な白衣を着た男を喰った男は、未だ視線を俺から外さない。生き残った二人の間に流れる瞬間の沈黙。俺にとってその一瞬は悠久にも感じられた。しかし「万物は流転する。」不変を赦さぬ神の悪戯か、このタイミングで正午の時報が鳴り響いた。
ピーーーn
「があああああぁぁぁぁ!!!」
男は咆哮しながら俺との距離を縮めて来る。俺の心情は恐怖、焦燥、逃走願望。俺の右手は咄嗟に構えた拳銃の引き金を引いてしまう。震える手、もう保身のことしか考えられない。当たれ、当たれ、当たれ、当たれ。響き渡る銃声。だが、無常にも放たれた弾丸は男の右腕を掠め、壁に弾痕を残したただけだった。
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[2007/05/16/01:00][ ↑ ][ ↓ ]
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